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活動レポート

土中環境を考える4日間

2025.08.20

6月に実施した研修に続き、“大地の再生”や貴船神社(京都)の環境改善など、数多くの現場で環境再生に携わっているPunakohaの鈴木恒平さん・鈴木圭さんを北杜にお迎えし、4日間にわたる研修とワークショップを行いました。

前半の2日間は、特別会員を対象とした実践的な研修。テーマは「水を活かす」。登山道にとって水は、ただ道を削る“敵”ではなく、山を潤し、植生を育てる“味方”にもなり得る存在です。水を土中に取り込み、保水力を高めることで、菌糸や根が再び活動を始め、やがてその土地本来の植生が戻ってくる。そんな循環を生み出すための手法を、実地で学びました。点穴、シガラ、吸水溝。手を動かし、土を触り、周囲の植生や地形を観察しながら、それぞれの場所に合った施工を考える。水と土と山に向き合う、濃密な2日間でした。

後半の2日間は、一般会員のみなさんとのワークショップ。2年前に施工した場所で、当時設置したステップや埋めた枝葉の“その後”を観察しました。葉は土に還り、白く繊細な菌糸が張り、土はほんのり湿り気を帯び、ほのかに甘いような香りを漂わせていました(「なんだか美味しそう…?」なんて声も)。土の質感や温度、湿度の違いを、五感を使ってじっくり感じ取る時間となりました。

「もっと枝葉をこう積んだらどうか?」「この場所はもっと水を取り込んでいいかもしれない」。どんなふうに根を育て、未来の山を支える環境を整えていくか。数年後、数十年後を見据えた視点で意見が交わされました。菌や根、小さな芽のひとつひとつが、私たちのこれまでの活動が、確かに山を変えていることを静かに語ってくれているようでした。再生の手応えと、次なる一歩への意欲を胸に刻む、そんな4日間となりました。

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